インタビュー記事

【この病気を多くの人に知ってもらいたい!】けいれん性発声障害を抱えながら、カフェ「pokkari(ポッカリ)」を営業(30代女性・藤田菜摘さん)

 

こんにちは、ゴローです。

本日の記事では、けいれん性発声障害を抱えながら、名古屋市守山区でカフェpokkariを営業する藤田菜摘さんにインタビューさせていただきました。

「けいれん性発声障害」、皆さんもあまり耳にしたことのない病名ではないでしょうか?僕自身も今回初めて知った病気ということで、全く知らなかった病気をお持ちの方への初のインタビューとなりました。

 

病気を発症するまでのこと・現在までのことを教えて下さい

お菓子の専門学校に通っていて、その後ケーキ屋さんに就職しました。5年ほど働きながら、休日を利用してカフェ巡りをすることが好きでした。そんな中、あるお店に衝撃を受けて、ケーキを作るだけではなく、接客や空間作りも意識したカフェを始めたいと思うようになっていきました。

その後東区にあるカフェで1年ほど勉強した後、約10年前の2015年9月に、現在のカフェを開業することになりました(開業当時は、友人と一緒に食事の提供もしていたが、現在はケーキ・ドリンクのみ)。

 

病気(けいれん性発声障害)を発症した時期は?どんな症状がありましたか?

3・4年前からのどが詰まるような症状が出てきました。接客の時もそうですし、親と話している時なども声が出づらくなっていたが、この時はそれほど問題を感じてはいませんでした。人によっても症状は違うのですが、私の場合は特に「あ行」の発声が難しく、「ありがとうございます」などの言葉が出づらかったりしました。

その後症状に波がありつつも、特に予約を受ける時などの「電話」の際に不便を感じることが多くなっていったため、2024年1月に近くの耳鼻咽喉科を受診しました。

 

病院の受診や治療はどのようなものでしたか?

最初に行った耳鼻咽喉科で検査をした結果、声帯に異常もないし、けいれん性発声障害かもしれないねということになりました。そこの病院は担当外ということで、大学病院の紹介状を書いてもらいました。

大学病院での診察の中で、診察中には声が普通に出るなど、けいれん性発声障害であるとの診断がなかなかつかなかったものの、普段の音声を聴いてもらうなどのやり取りの中で、やっと診断がつきました。しかし、治療自体はここでは出来ないということで、また別の病院に通うことになりました。

ボトックス注射を声帯に打つといった治療になります。紹介された病院では、外から声帯の動きを見て、狙いを定めて声帯に注射を打つといったやり方なのですが、その手法だと外れることも多く、この時は症状の軽減はありませんでした。

次の注射を打てるまでに3ヶ月かかるため、お店のこともあるので(同じ病気の患者の方の情報など)いろいろ調べていった結果、内から注射を打てる病院(この手法だと100発100中といわれている)が東京にあることが分かりそちらに行きました。

1回目の注射でいきなりしっかり効果が出て、私の場合は翌日から明らかに声が出るようになりましたが、すぐに効果が出ることはレアケースのようです。

時間が経つとまた声が出にくくなってくるので、基本的には3ヶ月毎に注射を打ち続けていくことになります(実際、2ヶ月くらい経つと声が出にくくなるような感覚がある)。なので完治ということはなかなか難しいのですが、とりあえず治療法は見つかったというところになります。

補足

藤田さんの発言にもあったように、病院に行って検査をする時などには、普通にしゃべることが出来て「しまう」ということが、この病気の患者さんにはよくあることのようです。病気は違えど、僕自身の経験でもこういったことはある(病院に行った時には自然と氣合いが入ってしまうため)ことが予想出来ます。ただでさえ見た目では分からず理解されづらい病気だと思いますので、医師の方はもちろんのこと、周囲の方の理解が必要・重要になってくると感じさせられます。

今後の展望・やっていきたいことはありますか?

自分は注射を打って声が出るようになりましたが、でもそれがゴールだとは思っていません。名古屋でも、定期的に同じ病気の患者会が開かれているのですが、注射を打っても声が出るようになっていない人もたくさんいます。なので、自分がよくなったから終わりということではなく、せっかくこうやってお店もやっているわけですから、多くの方にこの病気のことを知ってもらえることが出来たらなと思っています。

自分だけでなく同じ病気の方のために何か行動を起こしたいという氣持ちが素晴らしいですね。ただ、藤田さん自身も、具体的に何を行動すればいいのか分からなくて・・・とおっしゃっていましたが、まずは発信することで、多くの方にこの病気を知ってもらうことが大切なのかなと思います(藤田さんのお店は人気店なので影響力もありますし)。知ってもらうことで、病気への理解と言いますか、周りの方のサポートや感じ方が変わっていくことが大きな一歩なのかなと感じます。

病気を経験して何か変わったことはありますか?

まず一番思うことは、「しゃべれることってすごい!」ということです。よく言われることですが、失ってみて初めて、今の状況をありがたいと思えるようになりました。

また、見た目だけでは分からない病気や障がいの方もたくさんいる、いろいろな方がいるんだなと思うようになりました。それこそGoroさん(筆者)のことも、最初は病気があるなんて分かりませんでしたし。

電車に乗っている時でも、この人少し変わった方かなあと思ってしまうこともありましたが、何かあるのかもしれない、決めつけてはいけないなあと思うようになりました。そういった意味でも視野が広がったのかなと思います。

 

最後に、現在病気や障がいなどを抱えている人にメッセージをいただけますか

諦めずに治療を探してほしいというのではなく、一人じゃないよ、みんないるよということを言いたいです。私自身、患者会などで集まった時に、同じような症状の方と出会って、そういった方達もそれぞれ頑張っていると思ったら、なんだか嬉しくて、勇気をもらうことができました。

また、自分が辛い時は、辛い・苦しいと我慢をしずに言ってもいいのかなと思います。私自身、自分よりも苦しんでいる人がいるのに、弱音を吐いたりするのに抵抗があったのですが、患者会の方に、辛い時は辛いと言ってもいいんだ!と言ってもらったことですごく気持ちが楽になりました。

インスタなどで、辛いことも含めてありのままに発信したり、お店作りに関しても完璧を求めすぎてしまっていたのですが、ありのままにって思うようになったら、逆にお客さんとの距離も縮まったような感覚がります。なので、弱音を吐いてもいいのかなと思いますし、自分らしくやってもらえたらなと思います。

 

今回インタビューをさせてもらった感想

まず最初に、藤田さんの作るこのお店のケーキは美味しいです!笑

美味しいから何度かテイクアウトしていて、初めてイートインに行った時のことでした。病気のことはインスタの投稿で知っていたので、少しお話させてもらいました。今回のインタビューの中にも出てきたのですが、「自分がよくなったからといって、これで終わりとは思っていない」という言葉が印象に残っていて、是非ともインタビューさせてほしい!と思い今回お願いをしました。

こういった考えを持った方の想いや言葉こそ、必要な方に届いてほしいと思いますし、僕自身も同じような考えなので、せっかく病気になったのならこの経験を世の中に還元していきたいと思っています(僕の場合は治ってないので偉そうなことは言えませんが苦笑)。

藤田さんの場合は、ケーキを作るだけでなく、接客も好きでカフェを始めたわけですから、声が出にくくなったという経験はひじょうに辛いものだったと思います。それだけに、この経験から得たモノ・感覚はたくさんあるんだろうなということを、インタビューさせてもらって感じました。

また、もともと優しいお人柄の方でしたが、病気を経験したことでさらに感受性が強くなられたのかなとも思いました。僕とは病気も症状も違うわけですが、そういった人への配慮といいますか、氣持ちを理解できる(ようになった?)んだろうなと、お話していく中で随所に感じました。

 

そんな優しい雰囲気が味わえる、美味しいケーキが食べられる藤田さんのお店に行ってみてはいかがでしょうか。ただでさえ人気店で予約も取りづらいので、本当は教えたくないのが本音ですが(笑)

【お店情報】pokkari(ポッカリ)

〇住所:名古屋市守山区大森4-203ルビーハイツ大森

〇お店インスタ:pokkari(ポッカリ)Instagram

※営業日時・予約方法などはお店のインスタをご確認下さい

 

それでは、本日も最後まで読んでいただいた皆さん、ありがとうございました!

 

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